北海道のおいしい食べものや熱心な生産者を紹介する旅日記
2011年3月
- 2011/03/23[この記事のエリア] 旭川
- 上川deグルメ~道北・元気フードの巻
東日本大震災では、復興に向け、被災者とともに、
たくさんの日本人が、長い闘いを続けてゆくことになりそうです。
被災されたみなさんには、当たり前の生活を、早く取り戻してもらえるよう、
当たり前で地道な、北海道民も元気の出る、道北のメニューを紹介いたします。
◆当たり前のラーメン
◎美深町・むつみ食堂、地元産コムギのラーメン ン
◆お店の入口と店内のようす
国道沿いにある、このお店は、本業は、そば屋さんです。
地元によいコムギがあると知り、ラーメンも提供するようになりました。
そのラーメンの麺は、
美深産・強力小麦ハルユタカを100% 使い、自家製造しています。
ふだん、私は、お店でラーメンをほとんど食べませんが、
こちらでは、化学調味料に頼らないスープのようなので、
塩分薄めのしょうゆラーメンを頼みました。
少し硬めにゆでた麺を食べてみると、歯応えがよく、
噛みしめるうち、コムギの味が響いてきて、よい香りも出てきました。
ラーメンの麺としては、今まででいちばん、上質な味と食感だと感じました。
自家製チャーシューとメンマは、しっかり塩分があり、
すっきり味のスープと麺とが丼ぶりの中で調和しています。
ふつうのラーメンは、スープの濃度や油脂の味が強く、
食べてストレス発散するようなものが多いように感じます。
しかし、むつみさんでは、当たり前に、この麺が使われているのです。
◆中西さんご夫妻 と、 古い馬そりのオブジェ前で
シェフの色紙を手にする中西さん。
◎東川町・ファーマーズカフェ風土のオムライス ス
◆自家製デミグラス系ソースがかかった、オムライスのセット
こちらは、養鶏を営む新田さんご夫妻 が始めた、オムライスがメインの農家カフェです。
卵は、卵黄の色が淡い平飼い養鶏卵 で、エサを吟味して、臭みのないのが特徴です。
以前、訪ねたときには、エサを全種類、見せてくれたので、
私は全部、食べてみました。
すると、いずれも、人が食べられるような鮮度で、中でも、魚カスは、
ふりかけのようなよい香りがして、これらを調達するのは、至難の業だなと感じました。
◆その時期のエサと エサの説明をする新田夫妻。
*特別な許可で見学しました。みなさんは、エサを口にしないでください。
◆お店の入り口と お店の前で新田夫妻
今回、訪問して、調理担当の奥さまに新メニューを伝授しました。
その名も、「塩・オムライス」。
ソースをかけず、白か赤いライスに、鉄のフライパンで焼いた卵をのせただけものです。
試しにつくってもらったところ、卵のかんばしい香りがあふれてきて、
食べる前から、その匂いだけで、口の中にだ液がたまってくるのがわかりました。
ただ今、奥さまが猛特訓中ですので、近いうちに、絶品の「塩・オムライス」が、誕生しそうです。
◎中頓別・お玉ですくってつくるチーズ ズ
宗谷の中頓別町では高橋牧場チーズ工房で、
ナチュラルチーズをつくっています。
中でも、「なかとんべつルーシュ」という
カマンベールチーズは、
固めたチーズのもとを、小さく切り分けずに、
そのまま、専用のお玉(仏語でルーシュ)で
すくって型に入れる、
フランスでも限られた、独自手法をとっています。
しかし、手間と時間がかかる作業のため、
「北海道では1軒しかない」と
高橋さんはいいます。
そうすると、なめらかな食感で、
熟成しても中身が溶け出さずに、
口の中ではじけるような、
ほんのり甘いうまみを持って仕上がります。
◆完熟しているのに、中身が溶け出さない「ルーシュ」(右上)と野菜料理・各種
チーズは、道の駅でも扱っていますが、直営のカフェで購入できます。
◆直営カフェの「森のキッチンHARU」と 敏音知岳(ぴんねしりだけ)
3/9に中頓別町で、料理教室を開催しました。
◆手伝ってくれた、地元の有志と 試食した中頓・黄金ピラフとホタテの黄金ソースほか
では、3カ所の情報です。
~ ☆ ~
むつみ食堂
住所 美深町 大通南4-4
電話 01656-2-1271
営業 11:00~20:00
定休 不定休
予算 しょうゆラーメン ¥500
ファーマーズ・カフェ風土(fudo)
住所 東川町 東4号北2番
電話 0166-82-5443
営業 10:00~16:00
定休 火・水、不定休
予算 オムライス サラダ・スープ付き¥890
森のキッチンHARU
住所 中頓別町 字敏音知267
電話 01634-8-3883
営業 ランチ11:00~14:00
カフェ 10:00~17:00
予算 ランチ¥750~800
チーズフォンデュ一人分¥1,000~
カマンベールチーズ「なかとんべつルーシュ 」1個¥1380
定休 水・木
どれも、味の想像がつく、当たり前の料理で、おいしそうですね。
いずれも、地道な努力が味に出ている、地域を代表する、お店ばかりです。
当たり前のメニューに感謝しつつ、ぜひ、召し上がって頂き、
元気を出して、被災地の応援をし続けたいと思います。
2011/03/23 14:23旭川コメント(16)
- 2011/03/21[この記事のエリア] 旭川
- 上川deグルメ~旭川ペーパンの巻
なんとか、原発も明るいきざしが見えてきたようです。
このたびの事故で、とてもわかりやすい動画がありますので、
友人のブログとともに紹介します。
◎旭川市ペーパン地区とは は
さて、昨年、ブログ友の記事で知ったのが、旭川市のペーパン地区。
この名前は、アイヌ語 で「飲み水」(ペ・パン)とか、
「水・あまい・川」(ペ・パン・ペツの下略)とも言われています。
(山田秀三著・「北海道の川の名前」復刻版より)
漢字では、なんと「米飯」と書く米どころで、
ペーパン川流域に「豊田・米原・瑞穂」の地区があります。
各地の川や海の水をなめてきた私には、とても興味をそそる名前なので、
気になって、昨年夏、料理教室のため、訪ねました。様子は、こちら
そして、川の水をなめてみると、ややアルカリに近く、カルシウム系の甘い味がして、
あと味には、さびていない鉄の風味がわずかに含まれているように感じました。
この水系なら、コメやダイコンなど、白い作物には、うってつけの土地だと直感しました。
◎ペーパンの甘い水とおコメ メ
昨年、収穫時にこの地区に住むアトリエharemiの高倉晴美さん
から、乾燥しないコメを送ってもらいました。
予想通り、しっとりと甘く、わずかに鉄分のようなあと味がある、
とてもおいしいご飯が炊けました。
その、しとやかな甘さを持つ、自家栽培米でつくったのが、「塩むすび」(えんむすび)です。
ただの握っただけのおにぎりではなく、心も結んでいるので、「おむすび」としています。
塩分量は、食べる時間から逆算して、ご飯の量の1%。
伊豆大島産の「海の精」という、高級な海塩を使っています。
◎ペーパン・グルメの会 会
先日、講演会の後、この地区で「ペーパンを語る会」という集まりがありました。
企画は、アトリエharemiの高倉晴美さん。
参加は、ペーパン地区の熱心なみなさんと、ペーパンの応援団。
そして、ペーパン地区の方を中心に、
それぞれの家庭料理を持ってきてくれました。
豆腐やお味噌を販売されている方、
陶芸作家の方など、
すごい人たちばかりです。
*シェフの写真もあります。
北海道新聞社でも、
この地区に注目していていますので、
これから、地域の人たちのエネルギーが結集して、
きっと、旭川ペーパンブランドが育つことだと、
強く感じました。
◎ペーパンの千本ネギ ギ
◆ペーパン古屋農園 の古屋誠さんとネギの畑
このネギは、とてもよい香りがします。
ワケギやアサツキ系だと思いますが、
白い部分は、加熱するとぐっと甘味が増しておいしくなり、
さすがに甘い水であるペーパン土壌の賜物だと感じました。
ところが、こちらの古屋農園では、土に独自のミネラルを補給していて、
ハウス近くを歩くとネギの香りがふんぷんと立っているほどなのです。
詳しくは内緒ですが、そのために、ネギの青い部分が香気に満ち溢れ、
小口切りにして、みそ汁に入れると、まさに「薬の味、つまり薬味」というほどです。
出荷の時は、手間がかかります。
◆土付きのネギ よく洗って
干して乾燥させます。
私は、土付きのネギが好きです。
おいしいし、鮮度は長持ちして、洗わない方がうれしいくらい。
その方が、香りがよくて、土は、「ネギの調味料」のようです。
◆古屋農園の長兄・古屋新さん(あらた・左)と弟の古屋誠さん
◆「ペーパンを語る会」で提供された、千本ネギの天ぷら。 これ絶品でした。
古屋農園は、10年も前から、修学旅行を受け入れてきた「ふれあいファーム」で
混植栽培米や、稲で文字を書いた田んぼで有名です。
古屋農園の千本ネギは、ファンがぐんと増え、今月いっぱい収穫されるそうです。
◎ペーパンの陶芸作家と見どころ ろ
◆ペーパン地区には、
登稔窯 (とうじんがま)の速水さん一家がお住まいです。
関西から移り住んでもう20年ほどになりますが、
ご主人と奥さまは、ばりばりの関西弁。
私もカタコトでノリツッコミをします。
それは、さておき、速水さんの作品は、
古典的な染付あり、いろいろな呉須赤絵あり、色絵ありでとても華やかです。
こんな時にこそ、元気のでるようなお気に入りを見つけたいもの。
こちらの人気は、桃太郎など、赤絵入りのカップや茶碗のようです。
◆私は、桜花柄のカップを購入しました。
◆お茶を飲み終えると、カップの中から、花びらが見えます。 アップで見た桜花文様。
◆今月いっぱい、自宅で工房展が催されています。
見学するだけでも、元気が出てきますよ。
◆北海道では、珍しい養蚕農家
◆旭川市の指定文化財となっています。 明治時代の民家の写真
ご子孫の松浦さんは、昭和50年頃まで、住宅として住んでいたそうですが、冬はとても寒かったそうです。
◆ペーパン川の上流には、水神様が祀られています。
水を汲みに人が訪れます。
◆新しくなった旭川駅。
ペーパンは、先住民からも
先人からも大切に守られてきた、神々しい地区ですが、
利用する列車も「スーパーカムイ」(スーパー神?)です。
では、みなさん、これからも旭川市ペーパンブランドをごひいきにしてください!
2011/03/21 17:37旭川コメント(12)
- 2011/03/21[この記事のエリア] 旭川
- 上川deグルメ~上川総合振興局の巻
いつまでも、東北大震災でくよくよしていられません。
私ができることは、「おいしい食」を楽しく紹介することだと思いますので、
先週、上川総合振興局でスピーチする機会がありましたので、
庁舎内の食堂を利用しました。
地下売店においしいおむすび!? ?
上川総合振興局(旧・支庁)の地下には、売店があって、地元企業が出店しています。
愛想のよい女性がいて、たずねると地元のものを紹介してくれます。
気になるのは、「アトリエharemi」のおにぎりで、「塩(えん)むすび」です。
東旭川で農業を営む高倉晴美さんは、
自家栽培のお米でおにぎりをつくる、農業者です。
そのおにぎり、減農薬栽培したコメ・「ななつぼし」に、
伊豆大島産の海塩・「海の精」をご飯量の1%まぶして、
食べる時刻に頃合いの、塩加減にしています。
1個120円~で、庁舎内でも、ドライトマトなど、いろいろなご当地の具材が人気です。
こちらの総合振興局長・窪田毅(くぼた・ひとし)さんも、「自宅の冷凍庫に入っています。」というファンでした。
この、「塩むすび」は、市内の合同庁舎や旭川空港の売店でも販売され、
手づくりおかずの定食が490円! !
振興局の最上階では、外部の人も利用できる食堂がお薦めです。
入口の案内板には、楽しい表示がふんだんで、
関係者の熱意がひしひしと伝わって、ちょっとした、地産地消レストランのようです。
◆入口の案内板には、3つのセットメニューなど、わかりやすく、楽しい掲示がいっぱい!
◆「食堂」とお米の産地の表示 はやりのカフェ並みの蛍光色ボード
◆セットメニューは、日替わり
中でも、
490円の定食(セット)は、人気メニューです。
というのも、ご飯、みそ汁、サラダなどがおかわり自由で、ビュッフェスタイルなのです。
その日のメインは、「魚介類のオイスターソース炒め」で、
化学調味料を使わない、あと味のよいものでした。
こちらのシェフも、勉強熱心な方だと、感じます。
◆盛りつけた定食と今週の定食メニュー スタッフの女性にプレゼンしてもらいました。
◆オイスターソース炒めとカボチャ、サラダをひと皿に盛りつけました。
これで490円は、プロから見ても、信じられません!
こちらは、庁舎全体で木材が活用されていますが、
食堂のイスやテーブルも地元産・木材のようで、
窓から見える大雪山連峰には、心洗われるほどです。
◆イスと山の名前を書いたボード 少し曇っている大雪山の峰々
食育についての講演 演
午後からは、上川管内の農業関係者に集まってもらい、
食育についての講演をいたしました。
私が考える食育とは、「食卓の教育=食育」なので、
食についての知識を、知っている人から、知らない人へ、
伝えて守ることが大切です。
特に、義務教育で食育は、
知育・徳育・体育 をつかさどる、 重要な役目があり、
後者3つがうまくバランスがとれると、「生きる力」がつくといわれています。
ということで、上川deグルメの第一弾は、
上川総合振興局の食堂などを紹介しました。
振興局の食堂は、
12時過ぎ~12:45頃は混んでいますが、それをはずすと、
安くて、おいしいメニューが、よい景色とともに味わえますので、
お近くの方は、ぜひ、利用されてみては、いかがでしょう。
2011/03/21 12:30旭川コメント(9)
- 2011/03/19[この記事のエリア] 札幌
- 災害のお見舞いと私にできること
地震による災害のお見舞い
このたびの「東北地方太平洋沖地震」により
被災されたみなさまに
心より、お見舞いを申し上げます。
いっときも早い復旧とみなさまのご健康をお祈りいたしております。
貫田 桂一
私ができること
ひとまず、STVで募金してきました。
STVどさんこワイドでお世話になった、ディレクターの鈴木めぐみさんと
2011/03/19 18:53札幌コメント(2)
- 2011/03/08
- 食の先進プロジェクトが勢ぞろい!
北海道には、たくさんの食品がありますが、
本日、行われた催事では、各地の「開発ほやほや」の新商品がずらりと並びました。
○この集まり、「2011食クラ・フェスタ」という催事で
○食クラスターの活動は、食に関係する産業が連携して
「食の総合産業」を確立しようと、昨年から始まっています。
その推進機関となるのが、「食クラスター連携協議体」です。
今回、パーティ+展示発表会のような形式で行われました。
◆あいさつをする、高橋はるみ北海道知事。
◆あいさつをする、札幌グランドホテル総料理長・小泉哲也氏(左)と
東京から、中国料理のシェフ脇屋氏(中)。 小泉シェフ。
では、これから、期待のもてる食品を紹介いたします。
◎各地のプロジェクトとメイン食材 材
◇胆振「い・ぷりん」
名品の多い、胆振地方で20品のこだわりプリンをマップで紹介しています。
中でも注目は、「うずらプリン」。 新千歳空港をはじめ、東京でも人気が出てきました。
もうひとつは、「炭チョコプリン」 で、炭焼き職人がつくるチョコプリンがけっこういい味でした。
そうそう、以前、指導した、
むかわ町・三倉農園の「かぼちゃプリン」 もマップに掲載されています。(写真なし)
◇稚内おおなご
おもに養殖魚のエサとなっていたオオナゴは、
鮮度がよければよい味を持つ、稚内の名産魚です。
地元で少しずつメニュー化されるようになりました。
◆今回は、昆布で締めたおおなごを甘酢に漬けています。
◆よい油で揚げた、おおなごをひつまぶしにしたもの。 プロジェクト・リーダーの欠畑さん。
◇魚醤油
道内に40社ある魚醤油の製造企業ですが、
現在、乳酸菌を活用した、うまみのある魚醤も数種類できているそうです。
◇サケ節
サケからつくったカツオ節・風の「サケ節」。
羅臼町の㈱のりとも朝倉商店のサケを使っていますが、
このサケ節は、イノシン酸系ではなく、魚なのに、
昆布などのグルタミン酸系のうまみが多いそうです。
◆サケ節と 羅臼・朝倉さん。(この写真は以前撮影したものです)
◇小果実
今回は、3種類のベリーを加えた甘酒がよい味に仕上がっていました。
◆ハスカップ、アロニア、シーベリー、「萌え」系の包装もかわいいです。
北海道の「食」販路拡大事業
こちらで表彰されたのが、札幌市の新札幌乳業。
江別市・小林牧場の原乳だけで、牛乳、チーズ、ヨーグルトなどを製造しています。
◆「さわやか牛乳」と 新札幌乳業・吉田さん。
◎ほかの高級食材 材
新得地鶏
鶏の種類は、北海地鶏Ⅱ。身の弾力が強く噛むと味がにじみ出てきます。
サフォークラム肉
北海道の超高級肉である羊肉。赤身のうまさが響きます。
グランドホテル特製デザート
女性客に人気だった、イチゴのベリーヌ
というように、これから、注目されそうな食品が
いっぱい出品されていました。
食クラスターは、北海道の食関連産業の発展のために、
ご尽力くださっていますので、みなさんも、ぜひ、応援してください!
お願いいたします。
2011/03/08 23:19コメント(2)