シェフ貫田の北海道・うまうま大辞典
北海道のおいしい食べものや熱心な生産者を紹介する旅日記
2010年12月
- 2010/12/27[この記事のエリア] 札幌
- 札幌北区で上質のXmasディナー(^o^)V
今年のクリスマスは、
札幌市北区のレストランで夕食を楽しみました。
◆写真は、メインディッシュ、ビーフのパートブリック包みです。
こちらのお店は、場所が少しわかりにくいのですが、
料理のおいしさは群を抜いており、まだまだ、人気の出るお店だと思います。
料理は、ご主人が一人でつくることもあり、進行はゆったりしています。
特にディナーは、三ツ星店のように、お客さまが注文してから、
カキの殻を開けたり、肉を切ったりして、仕込みに時間をかけています。
その分、鮮度落ちしていないことや、切り口が酸化にくいので、
素材の真のおいしさが伝わってくるように感じます。
また、ご主人の食に対する真摯な姿勢が、料理の端々に感じられ、
客としても食べものに対する、慈しみの気持ちさえ沸き立つことがあります。
では、今年のフルコースを紹介いたします。
◆最初のひと口 3種のカナッペです。
やや大きめの一口ですが、いずれも、よい味わいです。
◆銀聖サーモンのマリネ
(真ん中)日高で漁獲される高級銀毛サケ、銀聖を塩に漬けこみ、ソフト仕上げにしてあります。
◆フレッシュウズラのガランティーヌ
仏産のウズラ肉を開いてフォアグラなどの詰め物をして、ロール状に巻いて火を通したもの。
◆イタリア産の生ハムとコッパ
◆続いてオードブルは、
根室産ズワイガニとホタテ貝、アボガドのタルタル、ハーブの香りとサラダ添え
ズワイガニの身をていねいに殻から取り出して、ホタテ貝とアボガドと和えています。
絹のように繊細なズワイガニのしとやかな甘みが印象的でした。
◆うれしいことに、パスタ料理もついています。
イカスミ入り手打ちタリアテッレパスタ 手長エビとズッキーニのクリームソース
口が真っ黒にならない、イカスミを練りこんだ手打ちのパスタ。
きしめん状のパスタと手長エビの甘さが出ている、軽やかなクリームソースでした。
◆魚料理
は、
松前産活〆真ダラとタチ、昆布森産カキのムニエル 焦がしバター風味 グルノーブルソース
マダラは、少し早いかと思いましたが、味が乗ってきました。
現地で血抜きをしている、臭みの少ない魚です。
カキは、昆布森漁協の仙鳳趾(せんぽうし)地区産で、ムニエルがとてもおいしかったです。
グルノーブル風のソースは、ケイパー、クルトンなどを加えたもので、
貝やタチの濃密さを引き締めてくれます。
◆そして、メインディッシュは、
道産和牛フィレ肉とフォアグラのポアレ 黒トリュフ風味 パートブリック包み焼き
欧州産のガチョウ・フォアグラの香りが豊かで、感性をくすぐるひと皿でした。
前もって、焼き色をつけた牛肉とフォアグラを冷ましてトリュフをはさみ、
小麦粉の薄い皮・パートブリックで包み、オーブンで焼きました。
十分に煮詰めたフォンが皿に敷かれているので、しっかりした赤ワインと相性がいいでしょう。
◆最後に、クリスマス風 盛り合わせデザート
イチゴのソルベとパンナコッタ、 フランボワーズ風味のムース・オ・ショコラ、
フランス産マロンクリームのロールケーキ
お店とシェフの紹介です。
お店は、フレンチイタリアン・レストラン アンファミーユです。
◆ある秋の日のお店
◆ここでご夫妻の登場です。
こちらは、京王プラザホテル札幌出身のシェフ、
遠藤圭介さん(恵庭市出身・42歳)とマダムの
奈七子(ななこ、遠軽町出身)さんご夫婦が切り盛りしています。
シェフは、名料理人を輩出してきた京王プラザで厨房スタッフとして活躍し、
平成10年には、プロの料理コンクール「日経レストラン・メニューグランプリ」で全国入賞を果たしました。
その後、独立して来年で10周年を迎え、
料理のおいしさとマダムのやわらかな笑顔が、地域の人びとに愛されてきました。
それ以上に、夫妻の深い家族愛やシェフの食材への畏敬の念などが
より奥深さを感じさせてくれます。
◆日頃は、おすすめメニューが黒板に書き出されています。
ふだんの夕食は、ディナーコースほか、パスタや魚・肉などの単品メニューもあります。
また、デザートは、洋酒に頼らない、素材重視のものが多いのが特長です。
2年前の北海道洞爺湖サミットで、私がロシア政府代表団の調理指導をした際、
期間中のデザートを遠藤シェフに頼みました。
夕食は、ぜひ、来店前に空席の確認を。
ぜひ、お時間の余裕があるときに、ご利用ください。
●ディナーコース ¥3,800
●単品だと2人で
前菜1品+パスタ1~2品+魚・肉のメイン1~2品+デザート2品を
頼んで、一人分¥3,000位からです。
お店の情報は、こちらです。
住所 札幌市北区新川 3条6丁目6-1
TEL・FAX : 011-762-6551
昼食 11:30~15:00 夕食 17:30~21:00
定休 日曜+月1回不定休 駐車 4台可
*年内は、12月29日まで、年明けは1月3日(月)からです。
年内のブログ更新は、今回で「御用納め」とさせて頂きます。
年明けは、コープさっぽろで販売された、シェフのおせちを紹介します。
では、みなさま、おいしい食で、よいお年をお迎えください! (^o^)V
2010/12/27 14:13札幌コメント(20)
- 2010/12/21[この記事のエリア] 登別・虎杖浜
- にったん野菜のセミナー&わさび園訪問
~登別で野菜の研修会&わさび園訪問!
~時期が早くて長い、にったん野菜とは
みなさん、「にったん野菜」をご存じですか?
◆にったん野菜を広める、本州でのポスター
先日、野菜生産者の研修会が、登別市で開かれました。
この、「にったん」というのは、「日胆」と書き、日高・胆振のことですが、
道民にもあまり認知されていないのが、現状です。
今回、わたくしは、ブランド化についてのご指導申し上げました。
◆研修会のようす
◆シェフの著書や木べら販売
「にったん」地区は、今まで十勝や富良野のように、大きな産地名がなかったため、
関係者が手を組んだ広域の取り組みです。
◆道内でのポスター
この地区は、野菜の種類が豊富で、収穫時期が早くて長いのが特長になっています。
そういえば、天候や土壌にも恵まれ、先住民族の聖地や遺跡があり、
その上、作物の雪氷貯蔵施設が多い地域でもあり、これから有望です。
参加者は、講演中、おとなしい方が多かったですが、
食事会では、かなりのエネルギーを発散されていましたので、
きっと、近いうちに、
身近なお店で利用できる「にったん野菜」として重宝されると思います。
~登別の地名・発祥地を探検!
今回の研修会は、登別温泉でしたので、少しご紹介します。
◆先週の、雪の地獄谷。
アジア観光客でいっぱいでした。右は、夏場の写真です。
登別の地名のもととなった場所です。
場所は、このあたりです。
◆その付近の写真です。
ここは、温泉街の奥にある、二つの川の合流地点です。
写真の緑色の矢印→は、
クスリサンベツ川
(アイヌ語で温泉がそこを下る川)で温泉水が混じっています。
この上流は、大湯沼から流れる大湯沼川で、足湯の人気スポットです。
青色の矢印→が、
登別川の本流
で、澄んだ色をして、かつて千歳川と呼ばれていました。
この合流点から下流を「ヌプル・ペッ=(水の色が)濃い川」と呼んだようです。
クスリサンベツ川の上流にある足湯は、冬季通行止めとなっていて、残念でした。
◆以前に行った、足湯の写真。
アイヌ語地名の参考 「北海道の川の名」 山田秀三著 北海道土木部発行
◆今回の宿泊先は、第一滝本館です。
◆宿近くに2年ほど前にできた、泉源公園と間欠泉。
◆温泉市街地にある、閻魔像。
登別にわさび園があった!
◆温泉街の一番奥にある、
本ワサビの畑。大量の水が流れ出ています。
◆お店の入口においてある、「わさび田」をイメージした本ワサビ。
◆今月初め、札幌でお会いした藤崎わさび園の藤崎代表とシェフ。
今回の旅で、登別の名前の由来地を「探検」でき、わさび畑ものぞけて、
「にったん野菜」の印象がぐぐっと強くなりました。
札幌の量販店などでその名を見かけましたら、
ぜひ、手に取って見てください!
年明けには、コープさっぽろトドックで発売する
貫田シェフのこだわりおせちを紹介する予定ですので、
お楽しみに!
2010/12/21 11:27登別・虎杖浜コメント(6)
- 2010/12/12[この記事のエリア] 釧路・阿寒・川湯・屈斜路・根室
- 釧路で食育イベント&そば店で新メニュー伝授!
~釧路でもアブナイおじさん登場!?~
先週12月11日、食育のイベントで釧路へ行ってきました。
◆会場は、釧路観光国際交流センターです。
釧路の海産物のお店がたくさん出店している中、特設ステージで食育トークを行いました。
一つ目のステージは、トークショー。
◆司会は、菅沼文乃さんで、家庭菜園をされているので、野菜のことに詳しいです。
◆子どもたちにどんな好き嫌いがあるか、聞いてみました。
二つ目は、食育ミュージカルです。
◆気が付くと、シェフは、やっぱり、ステージ横で踊り出していました。
◆だんだん、子どもたちのいる正面に移動してきました。
前回、札幌イベントの際も、踊りだして、「アブナイおじさん」と称されました。
◆終了後に、おにいさん、おねえさん。
そして、「愛食」のキャラ大地君とめぐみちゃん。(中身は美人女子2名です)
◆手前、真中は、司会の菅原文乃さんです。
◎この食育ミュージカルは、DVDの貸し出しを始めるそうです。
各地の催しや食育の授業には、うってつけだと思います。
くわしくは、お問い合わせください。
担当は、道庁農政部、食品政策課主査(食育)の熊野さんです。
~そば店の天ぷらがダイエットした!?~
今回の釧路では、釧路町内の熱心な食品会社とおそば屋さんも訪ねました。
これは、北海道商工会連合会の派遣で出向きましたが、
近いうちに新メニューが登場しそうなそば店をご紹介いたします。
お店は、釧路町睦にある、
そば処八松庵(はっしょうあん)です。
やさしいお父さんと美人のお母さん、そして、明るい従業員が多い、繁盛店です。
自家製そばとうどん、しゅるしゅると音がする揚げたて天ぷらが有名です。
◆お店の正面。とそばの3点セットメニュー。このえび天を揚げ立てで持ってきてくれます。
◆お店の経営者や従業員と相談中。どんなメニューがいいか聞いています。
提案したメニューを実際につくってもらい、みんなで試食したり、確かめてみました。
近いうちに、提案したメニューが3つほど商品化されそうです。
1 女性の美肌効果によいといわれる納豆のかき揚げ
2 のどや鼻かぜに効果があるといわれる長ネギにしょうゆを混ぜた薬味、
3 天ぷらの衣をおしゃれに揚げたダイエット天ぷらです。
◆そば屋さんの天ぷらは、衣が分厚すぎるので、薄い衣で揚げたダイエット天ぷらを出すことになりました。
近々、おしゃれなネーミングで登場する予定ですが、
北海道では新しい取り組みなので先進事例としたいところです。
◆明るく温かい、ご家族と。
追加
~釧路でブロガー仲間と出会った~!~
そして、夜には、ぐうたびブロガーの
あにゃごさんと初対面しました!!
以前から、あにゃごさんとは、ブログでやりとりしていましたが、
ブログの写真よりすてきな女子で、おしゃれな浴衣がとてもお似合いでした。
あにゃごさんがお勤めのお店は、夢酒場といいます。
1980年頃のなつかしい歌謡曲が流れていたり、
ご当地食材も扱う居酒屋メニューで、懐かしい雰囲気のあるお店です。
その日は、浜中町・大友チーズや釧路のカキなどを置いていました。
店名 釧路すえひろ夢酒場
住所 釧路市栄町3丁目2
電話 0154-21-5310
営業 18:00~24:45年中無休
では、また、次回をお楽しみに!
2010/12/12 22:24釧路・阿寒・川湯・屈斜路・根室コメント(6)
- 2010/12/09[この記事のエリア] 登別・虎杖浜
- 登別の本ワサビが札幌で手に入る!
100年以上前から、登別市で栽培されている、
本ワサビとその加工品が12/14 まで
札幌地下街で手に入ります。
登別温泉にある、
マルフジ藤崎わさび園は、
栽培、加工製造、販売を一貫して行っているお店です。
こちらの名品は、2年半、大きく育てられた
一本ものの「本わさび」で、1本1575円です。
◆とてもよい香りがあって、卸したては、うっとりしてしまうほど。
そして、代表的な加工製品が、98年の歴史を持つ、
「元祖 わさび漬け」です。
◆お徳用の袋入り 小さい包装のものもあります。
酒粕にワサビの茎や根が入っていて、あと味がすっきりしています。
包装は、小さいものから、大きめのギフト用までいろいろ用意されていて、
登別温泉の宿で見かけることもありますね。
このわさび漬けのソース(!?)を塗って食べる、
「登別ヤキトリ」(豚串、仮称)も開発中ですので、期待してください。
このほかにも、25年くらいつくっている
「鬼づけ」という、緑の色が残る、
つぼみや茎、根が入って、調味液に漬けてある製品もあります。
いずれも、しっかり辛くて、心地よさがあります。
ふつう、ワサビの辛さは飛んでしまうのですが、
特殊なつくり方で辛みを飛ばさないように注意していると、
藤崎わさび園の代表・藤崎信雄さん
(64歳、登別市出身)は、笑顔で話します。
いまだに、「北海道でワサビはできないと40年言われている。」と笑う藤崎さん、
明るくて元気いっぱいなので、全国の百貨店など、催事では、とても人気があります。
その ワサビ栽培は、とても手間ひまがかかります。
登別温泉のはずれにある畑は、9℃の地下水が大量に流れ出しています。
ワサビは、畑作りが大切で、水が流れる傾斜地に
45㎝の深さにろ過装置のように石や砂を組んで植えるのです。
一本わさび
では、約2年半かけて、育てられていますが、
その栽培は、ふつうの農業より厳しいといいます。
さらに、自社で加工品を製造し、
みずから、販売に出て歩きます。
以前は、登別温泉のお店に行かなければ、
手に入れることができない貴重な製品でした。
今回、催事でいらしているので、
ぜひ、道産品の買い支えにご協力ください。
もちろん、登別温泉にいらしたときは、お店にも立ち寄ってくださいね。
では、催事の紹介です。
日程 12月8日(水)~14日(火)
場所 道産食品セレクトショップ きたキッチン
札幌地下街オーロラタウン
電話 011-205-2145
☆こちらには、「貫田シェフ監修のコロッケ」もおいてあります!
2010/12/09 16:20登別・虎杖浜コメント(10)
- 2010/12/08[この記事のエリア] 札幌
- 稚内の名画家が札幌で感動の個展!
以前から、アトリエを訪ねていた、稚内市に在住する
画家・高橋英生さん(たかはし・えいせい、稚内市出身、77歳)の
個展が札幌で催されています。
◆案内状を飾った作品「みどりの里」(サイロ)100号F
会名 「高橋英生 上勇知より 2010」
会場 ギャラリー・エッセ
札幌市北区北9条西3丁目9-1ル・ノール北9条1F
会期 12月7日(火)~12日(日)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
高橋英生さんは、稚内では広く親しまれ、
「えいせい・さん」と呼ばれていますので、今回、英生さんと書かせて頂きます。
英生さんは、渡仏経験が豊富で、北海道立近代美術館をはじめ、
北海道銀行本店のショーウィンドウにも作品が展示されました。
◆「みどりの里」(サイロ)の前で、英生さん(左)とシェフ
喫茶室を営んでいることもあり、私も何度か訪ねていました。
孝子さんは、北海道新聞のコラム「朝の食卓」で3年間、執筆されました。
◆奥さま(左)とシェフ
今年の作品は、すばらしい緑色が印象的でした。
ふつう、油絵は、厚く塗ることが多いですが、
英生さんの牧草の緑色は、うるし塗りのように、
うすい絵具を何度も塗り重ねて描く、独自の技法です。
◆目を凝らすと、細かい塗り重ねがびっしりと見えました。
私は、水彩画を描くので、この重ね塗りには、相当、手をかけたことが伝わってきます。
絵具は、エメラルドグリーンを主に3~4色を合わせた、なんとも微妙な緑色ですが、英生さんは、
「色味(いろあじ)で牧草を表現したかった。」
といいます。
また、
「うまい絵は腕で描く、いい絵は心で描く」
というように、 作品を鑑賞して、
心で学習してほしい とおっしゃいます。
◆ほかの作品です。
◆STVどさんこワイドの星沢幸子さんもいらっしゃいました。
◆外にある案内板とその作品がのぞけます。
◆稚内市上勇知のアトリエと、天気が良ければ正面に見える利尻富士。
◆「あとりえ華」で孝子さんが、提供するコーヒーと独特の形のスコーン。
コーヒーもおいしいし、
スコーンは、食器の余白もすばらしいです。
◆稚内といえば、北海道遺産の「稚内港北防波堤ドーム」。
近景と稚内全日空ホテルから見た、夕暮れの北防波堤ドーム
では、お店の情報です。
店名 あとりえ華
住所 稚内市上勇知原野949-3 (稚内市街より車で約20分)
電話 0162-73-2905
営業 4月~11月の10:00~18:00 (冬期間は不定期に営業)
定休 木曜(祝日の場合は営業)
☆稚内観光の前後にぜひ、あとりえ華にもお立ち寄りください。
*冬場はお問い合わせください。
2010/12/08 21:40札幌コメント(3)