千石涼太郎の「道人紀行」
人生は長い旅。旅の途中で出会った人、風景、食について感じたままに語ります。
- 2012/10/15
- 渡島半島「温泉と食い倒れ」の旅 vol.1
ぐうたびの村澤編集長に誘われて、モニターツアーに同行した。
朝8時にバスで札幌を出発。
高速を通って、千歳、苫小牧、室蘭を経由して八雲。東京から参加するメンバーをピックアップし、
最初の目的地、噴火湾パノラマパークへ。
八雲町が管理運営している道立公園には、パークゴルフ場や宿泊施設、BBQ施設、
ふれあい農園などがあり、噴火湾を見下ろすシチュエーションとなっている。
ジオラマパークでいただいたのは、「八雲のかあさんの味」のランチ。
キノコ、根曲がり竹、わらびなどの山の幸、八雲特産のもち米・風の子もちでつくった
おにぎりなど、家庭的な料理を振る舞っていただいた。
ホタテの稚貝も使われていたけれど、味噌汁にはボリボリも入って、
まさに、山菜のオンパレード。
キノコが苦手な私には・・・・・でしたが、みなさん、大喜びでした。
食前酒として出していただいた地酒「今宵 八雲」。(秋田の斎弥酒造で委託製造)
個人的は脚色された吟醸香の強い酒は好みではないのだが、
この酒の吟醸香は嫌味にならない。
飽きがこない純米吟醸なのだ。
酒造好適米ではなく、八雲産の「ほしのゆめ」を使っているとは!
ほしのゆめ、おそるべし!
通常メニューが終わったころ、「この肉、なんだかわかりますか?」と、
燻製になった肉が登場!
見た目はエゾシカっぽい。
クイズに出すわけだから、牛や羊ではないだろう……やっぱり、シカか、クマか、
エミューやダチョウ、ウサギ……といった選択肢を考えて試食。
あれ? シカじゃない。
エミューやダチョウでもない‥…燻製の具合がちょうどよくて、
なかなかイケる。
そう思ったとき、「クマです」の声。
固くないし、臭いもない!
クマって旨いんだ!と、一同、驚きの声!!
山ワサビで食べたい! 赤ワインかウイスキーがほしい!
そんな心の叫びが聞えてきたのは私だけではなかったと思う。(笑)
パノラマパークは公衆無線LANのフリースポットになっていて、FONのアクセスポイントにも
なっていた。wifi_squareも使えてとても便利。
町おこしに結構な予算を組むくせに、たかだか数万円で済むfreespotを入れない自治体が多いけれど、
パノラマパークは、複数の公衆無線LANを入れている。さすがです!
※ちなみに、小樽の運河プラザにもfreespot入りました! wifi推進派の若手(そんなにわかくないけど)の
活動の成果です。
続いて八雲町の公民館の隣、シルバープラザでイクラ作り体験と、ホタテの殻ムキ体験。
イクラづくりは、毎年の恒例なので、とくに目新しいことはなかったけれど、
教えてくださった漁業士さんからお聞きし、実際に目の前で仕事を見ていると、
自分がいままでやってきたのが雑な仕事であったことを痛感!
経験のない人は勉強になり、経験者は心構えを見直すことになりそうだ。
解説をしてるださったのは漁業士さん。
漁業士というのは、漁師界のスポークスマンのような存在。
「次代を担う漁業後継者の育成・確保」を目的として国が制度化し、
知事が認定しているものなんだとか。
イクラ作りは道産子なら、一度や二度はやったことがあるものだと思っていたけれど、
経験のない人もいるようだし、道外から来た人にとっては、とっても魅力的。
イクラ作り体験して、そのイクラをその場で食べられたり、
持ち帰りできるとなれば、これは立派な体験コースになりそうだ。
イクラにバラすときのコツは、網を途中で換えること。
付着しいる膜を取るのがイクラ作りで面倒な作業なのだが、
網に付着させ、イクラを別のザルに移動し、ザルの中を洗い、
キレイに洗ったザルにまた移動する‥…という作業をしているうちに、
ザルによって、どんどん余計なものが取れていくのだ。
イクラを洗うときは、海水程度の食塩がいいけれど、
のんびりしていると、イクラをが塩水はどんどん吸ってしまうので、
作業は素早くやるのだ〜!
調味液を入れて、50分。
調味液をなめさせていただいたが、塩分が強く甘味もあるものだった。
なるほど、これほどこければ50分で充分だろう。
私のようにお酒たっぷりの場合は、2〜3時間では足りないくらいだけれど。
女性陣だけ、体験に挑戦!
はじめての経験ではないだけに、教えを素直に行くと、作業が早い!
仕事も丁寧。
でも、漁師さんのお母さんが作ったものと比べると、うーん、どうでしょう?……以下自粛。(笑)
イクラを醤油に漬けている間に、ホタテの殻ムキ。
これも経験があるので「コツ」だけつかみたい!と思いながら、聞き耳を立てる。
貝柱は片側しか外さないうちに、ウロやミミ、ヒモを取ると仕事が早いのか!
なるほど! これから片手で解体できる。
ちょっとばかり、勉強になったのだ。
貝ムキの道具をいただき、自分でむいて、そのまま口にダイビング!
なまらうまいべや! ばりうまか!
というわけで、ヒモも食べさせていただいた。
赤貝のヒモをこよなく愛し、ホタテのヒモを美味しくいただく、ヒモニスト千石としては、
一般の人たちがヒモファンになっていくのを見るのが、とての幸せだった。
ただ、ヒモを好む人が増え過ぎると、オレの分が減る!とも思う・・・・小さな男です。(笑)
クマといえば、千石。
いまでは、クマのはく製などあれば、「ファミリーがいますよ!」といわれ、
一緒に写真を撮られるわたくし。(笑)
そんな私が、今月末に発売に「北海道はじめて物語」(廣済堂出版)にも書いた木彫りのクマ発祥の地は、
ここ八雲町なのだ。
イクラの醤油漬けができるまで、公民館の「 八雲木彫り熊展示室」を見せていただいた。
八雲木彫り熊展示室について書くとき、いろいろ調べたこともあり、
思い入れがたっぷり。
ますます、応援したくなった!
イクラの醤油漬け完成!
お土産にしていただきました。
ありがとうございます!
八雲のサケは大きく、イクラも特大。味も最高です!
イクラをバスの冷蔵庫に入れた我々、食いしん坊隊が次に向かったのは、
今金町の砂金採り体験。
食いしん坊から、金の亡者に変身なのだ。(笑)
今金のキムタク……との噂もある イケメンの田中係長の案内で後志利別川の上流へ。
「キムタクというよりは、大沢たかおじゃないか?」と思ったけれど…まあ、そんなことは、
どうでもいいですよ〜!ですね。
ボランティアのご老体が、この一帯が江戸時代から砂金の採掘が行われ、
昭和10年くらいまでは、砂金を採るだけで生計を立てている人がいる話や、
採掘に使う道具の話をしてくださった。
こういう昔話は、若造がしても説得力がない。
やはり、歴史を語れる年齢というものがあるのだ。
川底をさらった土砂をパン(砂金採り専用の皿)に入れ、比重の軽いものを除去していく。
大胆にやっても、金は比重が思いため、大丈夫なのだが、
最初はおそるおそる。
でも、わたくし、すぐにマスターしてしまいまして、後半は指導に回るのであった。
必要は発明の母、欲望は上達の母なのだ。(笑)
な〜んていえるのも、役場の方々のご指導の賜物です。多謝!
そんなわけで、0.001gくらい?の砂金をゲット。
ま、数円の価値でしょう。^^;
それでもうれしいのが、金なのだ。
砂金採りを終えたあとは、クアプラザで今金男爵をいただく。
キタアカリ、インカのめざめ‥…様々な新種が生まれ、いまさらメークインや男爵は……と、
多くの人が思いはじめた昨今。しかし、この男爵、なまら旨い!
改めて男爵の実力を見せ付けられた気がした。
食べ方は、まずは、そのままで、そして塩。
次はバター&塩辛!
旨い! 夕食前だというのに、3個も食べてしまった。
※あとで、5個食べた人がいたことを知りましたが。(笑)
夕飯は、せたな町の「わっかけ岩」の“specialせたなディナー”。
なにがどうspecialなのか・・・それは、写真を見てもらえればわかるはず。
メインは海鮮せたなまぶし。
まずは、海鮮丼として食べ、そのあとはひつまぶしのように、
混ぜて食べ、そのあとはお茶漬けで‥…と、工夫のある料理。
でも、アワビにヒラメにイクラに甘エビでっせ、旦那!
いわれた通りに食べる飲ん兵衛がいると思いまっか!?
まずは、刺し身でアワビとヒラメをいただきます!
でもって、吟子物語をクイッと、いただくわけでんがな!
ばりうまかとばい!
こういう食い方しても、よかろうもん!
小鉢に取り、混ぜて食し、その次はお茶漬け。
どっちも旨いが、タイやウナギほど、お茶漬けにむいている魚のチョイスではないようにも思う。
アジ科、サバ科の魚を入れてはどうかな?
ラムも黒豚も美味しい。
ただ、「海鮮の口」になっていることと、固形燃料で火を通すのは、
料理としては、いまいち。
ここをもう一工夫かな?
っていうか、私は海鮮だけで充分と思う。
こんなに厚く切ったヒラメ、食べたことないも〜ん!
旨かったぜよ!
ガンガン、飲みたかった〜!
泊りは長万部温泉丸金旅館。
小さな温泉街には、スナックやカフェバーあり。
カフェバーMIMOZAは、カフェバーといいながら、本格派のショットバーなのだとか。
かのバー山崎で修業した本物のバーテンダーが店主で、真空管の音響もgoodらしい。
私は翌日の釣りを考え、とてもいい温泉で汗を流し、
午前0時を過ぎてすぐに就寝。
ぬるっとしたアルカリ性の高い温泉は、美肌の湯であった。
※2泊3日の旅は、まだ続きます。
2012/10/15 08:56