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千石涼太郎の「道人紀行」

人生は長い旅。旅の途中で出会った人、風景、食について感じたままに語ります。



雑感


2017/04/12
航空会社、お客様引きずり下ろし事件について

世界最大級の大手航空会社であるユナイテッド航空の機内において、アジア系の医師がシカゴ警察の暴力的行為(スタンガンを用いたともいわれている)によって、機上から引きずり下ろされた。
その様子は、すでにたくさんの動画としてネットにあふれていることから、みなさんも目にしていることだろう。
乱暴で、非人道的で見るに耐えない動画だが、見ていない人は見ておくべきと思う。

シカゴ警察の行為は許させることではないが、「道人紀行」という名のブログを書いているわたしとしては、航空会社の姿勢に対して、ここで一言、書いておきたい。ご一読いただければ幸いである。

航空会社が、キャンセルなどを見込んでオーバーブッキングをすることは珍しくない。日本でも、ANAもJALも「フレックストラベラー制度」といって、座席が不足した場合、予約している客のなかから「自主的に便の変更」を協力してもらえる人を募り、協力してくれた場合は、現金やマイルの支払や代替交通手段の提供などを行っている。

日本の場合、どんな風に行なっているかというと、フライトの3、40分前に「XXXの○○○便は、座席の不足が予想されます。別の便に変更できる方を☆☆名募集しています。ご協力いただける方は□□にお越しください」といったアナウンスがあり、協力した場合、いくらもらえるか、あるいは何マイルがもらえるなどの条件が提示され、次の便などに変更して協力金を受け取る。1本や2本遅らせても、1万円もらえるほうがいいと考える人は、その条件がうれしいケースもあるわけだ。
つまり、JALもANAも自主的な申し出によって、お礼を渡すという真っ当な対応をしているわけで、オーバーブッキングがいいことだとは思わないが、2社については非難されることではないのだ。

しかし、ユナイテッド航空が行なった今回の騒動はまったくもって意味が違う。
なにが問題なのか、いくつかにしぽってみたが、それでもたくさんある。
 

1,お客様より、従業員を優先というの姿勢が大問題。企業倫理の欠如に呆れる。
  公共交通機関として、空港使用の権利を停止されて当然であろう。
2,自社の乗組員分4人を乗せることがわかっていながら、必要人数分の席を確保せず、乗客をチェックインさせたこと。
  そして社員を乗せるために、先に正規の方法で乗った乗客を力づくで下ろさせ行為は、
  お金を受け取って対価を対価を渡さない詐欺であり、力づくであることは強盗に等しい。
  おまけに国家権力を利用したことは、ほかの法律にも触れるのではないか。
3,コンピュータでランダムで選らんだ主張しているが、システムを公開していないのは問題である。
  最初から、ビジネスクラスや上級会員などは除外しているのではないか。
  国籍や人種などのデータをもとに作為的に選んでいる可能性はないのか。
  選定基準を検証し、情報開示しないまま、ただ「見直す」という発言していても、なんら信用できない。
4,規程ではもっといい条件(最大1350ドル=約14万8500円まで)を提示し、他の客に依頼できたにみかかわらず、
  その額を提示せず、警察を呼んだことは、最善の方法をとるための努力を怠っていることは明らかである。
  その責任所在もはっきりさせ、公表すべき。
5,アジア人が警官から暴行を受ける前に、降りられない理由が「医者としての使命=患者が待っていること」だと
  事情を説明している。それを阻止することは、患者の命を軽視する行為である。


暴力を振るわれ、引きずり下ろされた医師は結構な高齢者。
いろんな意味で許させない事件と思う。
そして、この事件の根幹にあるホスピタリティの欠如。
公権力が資本家や企業側の手先になっている実態見て、アメリカ的な社会に、ますますうんざりするのだった。

 

2017/04/12 10:52



千石涼太郎

Profile

[ 名前 ]
千石涼太郎

[ 得意ジャンル ]
旅行

[ 職業 ]
作家・エッセイスト

[ 自己紹介 ]
児童書の編集、アウトドア雑誌の編集長等を経て、地方文化や県民性を盛り込んだ紀行文やエッセイ等の執筆活動へ。人生相談や自己啓発、地域振興や教育の分野での活動にも邁進中。いまの悩みは4年前に愛する故郷・北海道にUターンしたことで「北海道に帰る楽しみ」がなくなったこと。小樽ふれあい観光大使のほか、最近はジンギスカン博士としても各地域で活躍中。「やっぱり北海道だべさ!!リターンズ」など著書多数。
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