シェフ貫田の北海道・うまうま大辞典
北海道のおいしい食べものや熱心な生産者を紹介する旅日記
- 2011/04/11[この記事のエリア] 稚内・留萌
- 海明け毛ガニと感動の再会!
◆枝幸産・毛ガニのマリネ、ライス・ギャレット仕立て◆
枝幸の毛ガニがおいしい訳とは
今年もおいしい、オホーツク海産の毛ガニと
再会することができました。
私は、この時期、枝幸町のゆで毛ガニを取り寄せています。
友人の小川さんがゆでる毛ガニは、
選別が行き届き、ゆで汁がしょっぱくないので、毛ガニ本来の甘みが楽しめます。
◆ずっしりと重たい、枝幸の毛ガニ と正面
◆ゆで毛ガニの殻を削って盛りつけました。
以前から、枝幸産・毛ガニの水揚げ量が日本一で、
カニみその味が濃いことも知っていました。
◆枝幸港を望む
昨年、枝幸町の温泉に泊まってみて、
毛ガニの秘密を解き明かしたように感じました。
というのは、枝幸・毛ガニのみその風味が、
町内にある温泉の風味とかなり似ていたのです。
温泉は、硫化水素、いわゆる、イオウ臭のする温泉で、
カルシウムがかなり多いようで、甘く感じました。
もしかすると、毛ガニのみその風味や、
カニの甲羅を育てるのにも、関係する温泉なのでは、と推測できました。
◎ほかの産地のカニの味 味
一方、同じオホーツクでも、
網走地区は、カルシウムのしっとり甘い、身とみその味がします。
紋別地区は、毛ガニ特有の臭みがありません。
特に、青っぽい粘土帯にすむ紋別港付近の毛ガニは、
ゆでたときの特有の臭みがなくて、鉄分が含まれているようです。
というように、毛ガニの微妙な風味は、産地の川や森の風土にも、
かなり影響されているようなのです。
◎流氷とカニの関係 係
◆流氷のしくみ ~オホーツク流氷館の資料より
毛ガニのおいしさは、流氷の影響が大きいようです。
まず、流氷ができるのは、アムール川の淡水が
オホーツク海の表層で凍るからと言われています。
◆流氷の下部のようす アイスアルジー
淡水が凍るときに、氷の下層に藻類が閉じ込められるそうです。
3月になって氷が溶け出すと、その藻類が、光合成で大繁殖して、
さらに、それをエサにする動物プランクトンが集まり、
毛ガニなど、もっと大きな生き物のエサとなってゆきます。
この命のサイクルが、カニをおいしく育てているのです。
今では、研究も進み、流氷はただのやっかいものではなく、
海の生き物にも、人間にも恩恵とされるようになりました。
◎枝幸の毛ガニをあじわう う
◆スプーンにたっぷりすくった、毛ガニのみそ
枝幸の毛ガニを味わうのでしたら、
いちばんは、現地まで行ってみましょう。
地元の温泉に泊まって、夕食でカニを味わえば、
カニさんの命にありがとう、という気持ちも強くなります。
◆枝幸町内のホテル 毛ガニ1パイがついた夕食のメニュー
もし、行けなければ、お取り寄せはいかがでしょうか。
手配先は、いろいろありますが、
友人のお店は、ふんわりしたゆで方と、ほどよい塩分がお薦めです。
◆毛ガニのライス・ギャレット
レモンとオリーブ油、塩で味付けたライスをケーキのように型抜きし、
その上に、毛ガニのマリネ(EVオリーブ油、レモン汁、塩)をのせました。
◆上から撮った写真。 *器=色絵芥子四方皿(絵付・貫田桂一)
◎お店の紹介です す
宿名 枝幸温泉 ホテルニュー幸林(こうりん)
住所 枝幸町北幸町1624番地2
電話 0163-62-4040
HPはこちら
店名 有限会社 北海風おがわ
住所 枝幸町岬町408-11
電話 0120-80-4102
ほか サイトから注文もできます。
HPはこちら
◎毛ガニは川や森のエキスもいっぱい い
さいごに、
毛ガニをはじめ、前浜産の魚介類は、
海がきれいでなければ、育つことができません。
そして、海や、そこへ流れる川や、上流の森のエキスが、
魚介の風味のもとになるのです。
ですから、みなさん、カニが好きならば、
川や海を汚さないようにしましょう。
原発の汚染水を垂れ流すなど、もってのほかです。
日本はおろか、太平洋の世界全体に悪い物質が広がってしまいますね。
わたしは、カニが大好きなので、海への愛着はひと一倍です。
ごみをていねいに分別したり、合成洗剤を控えたり、
身近なところから、はじめてみませんか。
きっと、末永く、北海道のカニを味わうことができると思います。
おいしいカニを食べながら、少し、考えてみてください。
では、次回は、渡島地方のおいしい食べものを紹介予定です。
2011/04/11 20:51稚内・留萌コメント(7)
こんにちは!
毛がに、美味しそうですね!
ニュー香林、例のJA系撮影で先日宿泊したんですが、
到着が深夜、出発が朝5時だったんで、
毛がにを味わう時間も温泉に入る余裕もありませんでした(T_T)
次の機会にはゼッタイいただきたいです!
2011/04/12 10:40
◇春のオホーツク毛ガニは、充実していておいしいですね。
枝幸のご出張、たいへんでしたね。
カニの食べられない、枝幸出張&No温泉は、もったいないとしか・・・。
◇ぜひ、ご再訪をお願いいたします!
2011/04/12 16:09
↑わ~い、hiDekiさんだ!
シェフの大好きな毛蟹のお話ですね。
シェフが絵付けしたお皿素敵です。
毛がにのライスギャレットが負けそうですね。
2011/04/13 14:25
◇はい、hiDekiさんから、コメント頂きました。
◇はい、毛ガニの大好きな話です。
私の絵付けなど、いろいろ作品がありますよ。
最後の写真は、器に光が反射して、イマイチでした。
2011/04/13 16:41
この記事を見たら、ニュー幸林のカニがこれでもか~って入ったカレーライス食べたくなりました。
個人的には紋別のカニより枝幸のカニの方が甘くて好きです。
でも枝幸港で釣ったマガレイよりも、紋別港で釣ったマガレイの方が甘いのが不思議です・・・
2011/04/13 20:07
シェフは絵もお上手・・・・そっか!お料理の盛り付けもお皿がキャンバスですもんね~納得!!
タイムリーにさゆっぽん家も昨日オホーツクの毛蟹でした!
カニ剥き名人のさゆっぽがセコセコ剥いてるそばからどんどん食べられちゃうので、さゆっぽの口には濃厚なミソだけチョッピリ・・・(涙)
2011/04/13 21:18
◇そのメニューは、知りませんでした。
◇毛ガニの身とミソは、枝幸の方が風味は強いです。
紋別産の毛ガニは、臭みがないのと、独特の風味ですね。
◇マガレイは、渚滑川の鉄分の多い粘土質がカレイの生臭みを
抑えているので、おいしく食べられるようです。
渚滑川流域の牧草地帯は、道内でも有数の鉄分の多い地帯ですよ。
2011/04/13 21:19