酒とごはんと映画の日々
食のエンタテインメントマガジン・choi-plus[ちょいぷら]発行人兼編集長の家飲み&映画試写に明け暮れる毎日を、ぱらぱらと綴る。
- 2013/03/15[この記事のエリア] 札幌
- たまには、シリアスだけど一級品の映画を。
アメリカのアカデミー賞の発表が2月25日に行われて、「アルゴ」が作品賞を獲ったのは、皆さんご承知の通り。でも毎年楽しみにしているのは、実は外国語映画賞。何年か前にもっくん主演の「おくりびと」が獲得したけれど、毎年英語じゃない世界中の名作がノミネートされ、賞を獲っている。で、今年この賞を獲得したのは、「愛、アムール」っていう作品。この作品、実は外国語映画賞だけじゃなく、作品賞や監督賞、主演女優賞にもノミネートされていて、しかも昨年のカンヌ映画祭では最高賞(パルムドール)に輝いているという注目の一本なのだ!
高級なアパルトマンで暮らす元音楽家の老夫婦。しかし妻が病に侵され、体だけではなく精神も壊れていく。それを献身的に看病する夫。でもやはり最後には…。ざっとしたあらすじというか設定だけを言えば、これまでも数々作られたであろうストーリー。
日本映画として作ったなら、きっと献身的な夫がいったんは絶望するけれど、まわりが力を貸すようになって、夫も力を取り戻し、多くの人々に囲まれて妻は大往生。「いい人生だったな」と夫は墓の前でつぶやいて…といった、ほのぼのとした展開が予想されるような設定。しかしこの作品はそうじゃない。
脳溢血になり、手術が失敗して半身不随になっても、ピアノの弟子の前では、何事もなかったかのように振る舞う、非常にプライドが高い、そして聡明な奥さん。その彼女が後半どんどん変わっていく。前半がある分、なおさら後半の彼女の姿が観ていて辛い。そして、文句ひとつ言わず、彼女の世話をする旦那さん。
パリが舞台。フランス人は個人主義だというが、そのせいなのか、親切そうな管理人夫妻とか、母を心配してそうな娘がいるのだが、老夫婦はどんどん孤立していく姿を、かなりリアルに描いていく。
思うに、これは鑑賞というより、一種の経験だ。卓越した映像表現の技を持った監督の導きで、夫婦の人生の終末を体験することができる作品じゃないかと。エンタテインメントでもなければ、お涙ちょうだいでもないけれど、演出にせよ演技にせよ緊張感たっぷりで、グサリと心に刺さってくる感じ。
たまにはこういう作品を観て、いろいろと映画の表現の多様さを考えてみるのもいいかな〜っと。
ミヒャエル・ハネケ監督作品「愛、アムール」は、札幌ではシアターキノで現在公開中。
☆☆☆
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2013/03/15 17:00札幌