酒とごはんと映画の日々
食のエンタテインメントマガジン・choi-plus[ちょいぷら]発行人兼編集長の家飲み&映画試写に明け暮れる毎日を、ぱらぱらと綴る。
2011年8月
- 2011/08/19[この記事のエリア] 札幌
- 親子で見てみたい女子向け映画!
毎年思うが、アカデミー賞の外国語映画賞にハズレは少ない。一昨年は日本映画「おくりびと」がこの賞を獲得したことを覚えている人もいるかもしれないけれど、これまでも1989年の「ニュー・シネマ・パラダイス」、1998年の「ライフ・イズ・ビューティフル」、2000年の「グリーン・ディスティニー」、2006年の「善き人のためのソナタ」など、心に残る名作ぞろい。まあ英語圏以外の世界中からノミネートされた映画から選ぶのだから、秀作が出やすいのも当然かもしれないが…。オレは2004年に受賞したスペイン映画「海を飛ぶ夢」を観て、この賞ってやっぱすごいなと思った。この映画の話は、またの機会に。
で、今年この賞を獲得したのがデンマーク映画の「未来を生きる君たちへ」。登場するのはデンマークに家を持ち、アフリカの難民キャンプで働いている医者、歯の矯正をネタにクラスメイトからいじめられている彼の息子、その息子のクラスに転校してきた母を亡くしたばかりの少年、医者の不倫が理由で今は別居している彼の妻…。そんな個人的な問題を抱える人々が繰り広げる、ある普遍的なテーマを持った作品だ。
(C)Zentropa Entertainments16
ストーリーは子どもたちの間のいじめの中での「復讐」から、アフリカの難民キャンプでの「復讐」に続き、そして、さらに多くの人を傷つけかねない「復讐」へと発展、そしてアフリカでも「ある事件」が起こる…。
子どもたちに「復讐」の虚しさを教えた同じ男が、アフリカでは激情に駆られて、「復讐」の片棒を担いでしまうなど、キレイごとじゃなく、矛盾に満ちた人の心をきっちり描いている。
だけどこの映画が本当に伝えたいのは「赦し」だ。世界から見たら小さく思えるかもしれないラストの「赦し」が、全世界の観客に未来への希望を与えてくれるような気がした。
「復讐」に解決を求める少年・クリスチャンに同情するシーンもあって、状況によっては「復讐」は許されるんじゃないかと思うオレ自身は、「赦し」に重きをおく監督とは、たぶん考えが異なってると思う。
でも、それも監督は意図してるのだろう。
例えば、親子で観て、お互いこの映画から感じたことを、ストレートに話しあう、そんな時間が時にはあってもいいんじゃないだろうか。
緊迫感を漂わせるストーリーテリングも上手いし、途中挿入される田園風景などの美しさ、音楽も効果的。映画としても一級品の出来栄え。
映画が好きなら、この作品を観ないわけにはいかないだろう。8月20日(土)からシアターキノで公開。
★★★
食のエンタテインメントマガジンchoi-plus[ちょいぷら]秋号は、9月10日(土)発行!
テーマは「みんな大好き!イタリアン」。乞うご期待!
2011/08/19 12:51札幌