いよいよ2月28日に迫ったアメリカのアカデミー賞の授賞式。今年最多の12部門でノミネートされているのが、今週末(26日)に公開になる「英国王のスピーチ」。
今のイギリス女王・エリザベス2世のお父さん、ジョージ6世が主人公。吃音というコンプレックスを抱え、兄がいたために皇太子でもなかった彼が、運命に翻弄されて国王になって…というストーリー。
©2010 See-Saw Films. All rights reserved.
タイトルからも想像がつくかもしれないが、
この映画のクライマックスを飾るのは「スピーチ」。
たかがスピーチ?というなかれ。
手に汗握るほどスリリングに描かれるそのスピーチは、
世界に冠たるイギリス国王の、
戦争に向かう国民に自らの思いをすべてぶつけたもの。
あまりにも爽快なこのラスト。背筋が思わずぞぞぞってなった。
国王になることへの不安が、吃音の不安とが重なって…と
とても人間的な分、とても魅力的なジョージ6世像を生み出した脚本と、
それを巧みに表現したコリン・ファースが絶品。
その妻・エリザベスを演じるヘレナ・ボナム=カーターも、
なんとも言えない、夫婦のいい間合いを出してるし、
もう一人の主役ともいえる言語矯正の専門家を演じた
ジェフリー・ラッシュの全知全能の存在じゃない、
人間臭い感じがすごく楽しかったし。
演出がまたいい。
ときにはコミカルに、ときにはしっとりと描かれた
自分に自信がなく、王になるはずでもなかった男が、
周囲の力も借りて、しっかりと王として歩もうという姿に、
最後はもう感動するしかないって感じ。
3D映画ばやりのこの時代に、
2Dの普通の映画でこんなにも笑ったり泣きそうになったり、
感情を揺さぶられて、楽しめるとは思わなかった。
あらゆる人がきっと堪能できる、必見の一本だ!
2月26日(土)からディノスシネマズ札幌劇場ほかで公開。