酒とごはんと映画の日々
食のエンタテインメントマガジン・choi-plus[ちょいぷら]発行人兼編集長の家飲み&映画試写に明け暮れる毎日を、ぱらぱらと綴る。
- 2010/11/02[この記事のエリア] 札幌
- 何も起こらないところが魅力?の女子向け映画。
登場人物は年齢も性別も違う7人+子ども。静かで美しい街(京都で撮影したそう。
でも古い街並ってわけじゃない)を舞台に、彼らの比較的たんたんとした日常が綴られる作品が、
この「マザーウォーター」。「かもめ食堂」っぽいっていえば、わかる人はわかるかな。
ほとんど登場人物たちの会話で進んでいく映画だけど、
話している人の顔がアップになるなんていうカットがない。
会話に参加している人が全員映った「ひき」の絵ばっかりなんだよね。
それがどういう効果を生むかというと、
なにげない会話の内容と相まって、
普段の生活の中でも、自然と入ってくる知らない人たちの会話を、
聞くとはなしに聞いているような感じ。
で、登場するのは心地良いものばかり。
市川実日子が作るおいしそうなお豆腐、小泉今日子が営む居心地の良さそうなカフェ、
そして小林聡美の飲んでみたくなるような水割り。
こういうのがぴったりくるのが、いかにも京都らしい。
あ、あと心に残ったのは手順の大切さかな?
豆腐の材料になる大豆を洗ったり、
時間をかけてコーヒーをドリップしたり、
そして何度もでてくる水割りつくり。
世の中にはちゃんと手順をふまなきゃならないものが、実はたくさんあるのだ!
何も起こらない映画のようだけど、
やっぱり最初と最後では微妙に人間関係は変化し、
去る人もいれば、新しく来る人もいて…。
非常に表現しにくいのだが、リアルな世界のある一面だけを取り出して、
手順正しく、フィルターで濾したような作品。
ありそうで、やっぱり絶対ないんだろうけど、あるといいなというこの世界観。
こんな映画をゆっくり観る時間ぐらいは、やっぱ人生には必要だと思うのだね…。
10点満点中5点。
札幌シネマフロンティアで現在公開中。
■ ■ ■
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2010/11/02 11:14札幌