酒とごはんと映画の日々
食のエンタテインメントマガジン・choi-plus[ちょいぷら]発行人兼編集長の家飲み&映画試写に明け暮れる毎日を、ぱらぱらと綴る。
2010年11月
- 2010/11/20[この記事のエリア] 札幌
- 女子的に映画「レオニー」は必見かと...。
モエレ沼公園のデザインや、大通公園の彫刻というか滑り台、ブラック・スライド・マントラで札幌でも知られている彫刻家のイサム・ノグチ。
映画「レオニー」は、イサム・ノグチのお母さん、レオニー・ギルモアの半生を描いたもの。よくあるお上品な伝記もの映画とは一線を画する、予想以上の作品に仕上がっていてびっくり。
『レオニー』11月20日(土) 札幌シネマフロンティア・シネプレックス旭川他 全国ロードショー 配給:角川映画 ©レオニーパートナーズ合同会社
一番印象的なのは、この映画の最後。
ユニークで美しいモエレ沼公園が、主人公・レオニーとともに映しだされる。
でね、そのラストシーンで、ぞぞぞっときちゃったわけよ。背筋が。
いろんな要素が混ざり合っていい映画になってると思うだけど、まずは
フランス映画「エディット・ピアフ〜愛の讃歌」で、
フランス・セザール賞の撮影賞をとっている永田鉄男のカメラがいいこと。
どのシーンも、それはもう絵が決まってて美しい!
さらに良かったのは、主演のエミリー・モーティマーの演技。
特に表情で何かを表現するのがとても上手。
そんなに美人でない(失礼!)女優さんだけど、
非常に魅力的で芯が通っていて、なおかつ女性的な主人公・レオニーを、
存在感たっぷりに描き出していた。エクセレント!
脚本や構成もよくできている。
人の半生を描くのに2時間ちょっとじゃ無理じゃんという作品の多い中、
松井監督は、しっかりと稀代の芸術家を生み出した女性の生き様を、
観客に焼き付けてくれる。う〜ん、巧みだね。
唯一、ちょっと違和感ありは中村獅童。なんか芝居が浮いてるし、
彼が演じる野口米次郎という人物が、さっぱりわからないんだよね。
これはまあ、そういう部分もあるということで。
20世紀の初頭に日本で力強く生きた、あるシングルマザーの物語。
その彼女の意思が、偉大な芸術家を生み出すことに…。
特に女性はこの映画を観ることで、すっごく勇気をもらえるんじゃないだろうか。
先入観抜きで観てごらん。絶対得した気分になるはずだから。
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2010/11/20 11:39札幌
- 2010/11/05[この記事のエリア] 札幌
- ラブストーリーというより、ファンタジーな映画
ある理由で妻と娘と別居することになった男。
彼の前に、「死が近い人がわかる」という医師・ケイがやってくる。
最初は胡散臭く思ったけど、本当に彼が何人かの人の死を予言することで、
男は医師が本当にその能力を持つことを悟る。
では何のために彼は男の元を訪れたのか。男の不安は次第に確信に変わる…
というちょっと変わったストーリーが展開するのがこの「メッセージ そして愛が残る」という映画。
(C)Copyright 2008 FIDELITE FILMS - AFTERWARDS PRODUCTION INC - AKKORD FILM PRODUKTION - WILD BUNCH - M6 FILMS
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2010/11/05 18:50札幌
- 2010/11/02[この記事のエリア] 札幌
- 何も起こらないところが魅力?の女子向け映画。
登場人物は年齢も性別も違う7人+子ども。静かで美しい街(京都で撮影したそう。
でも古い街並ってわけじゃない)を舞台に、彼らの比較的たんたんとした日常が綴られる作品が、
この「マザーウォーター」。「かもめ食堂」っぽいっていえば、わかる人はわかるかな。
ほとんど登場人物たちの会話で進んでいく映画だけど、
話している人の顔がアップになるなんていうカットがない。
会話に参加している人が全員映った「ひき」の絵ばっかりなんだよね。
それがどういう効果を生むかというと、
なにげない会話の内容と相まって、
普段の生活の中でも、自然と入ってくる知らない人たちの会話を、
聞くとはなしに聞いているような感じ。
で、登場するのは心地良いものばかり。
市川実日子が作るおいしそうなお豆腐、小泉今日子が営む居心地の良さそうなカフェ、
そして小林聡美の飲んでみたくなるような水割り。
こういうのがぴったりくるのが、いかにも京都らしい。
あ、あと心に残ったのは手順の大切さかな?
豆腐の材料になる大豆を洗ったり、
時間をかけてコーヒーをドリップしたり、
そして何度もでてくる水割りつくり。
世の中にはちゃんと手順をふまなきゃならないものが、実はたくさんあるのだ!
何も起こらない映画のようだけど、
やっぱり最初と最後では微妙に人間関係は変化し、
去る人もいれば、新しく来る人もいて…。
非常に表現しにくいのだが、リアルな世界のある一面だけを取り出して、
手順正しく、フィルターで濾したような作品。
ありそうで、やっぱり絶対ないんだろうけど、あるといいなというこの世界観。
こんな映画をゆっくり観る時間ぐらいは、やっぱ人生には必要だと思うのだね…。
10点満点中5点。
札幌シネマフロンティアで現在公開中。
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2010/11/02 11:14札幌